籾の播種から二週間、芽出しができた種籾と芽出しに失敗した種籾のその後
去る4月3日に播種作業を終えたコシヒカリBLとコシイブキの稲、なんやかんやありましたが何とか必要な量の稲を確保できています。
前回の記事でも投稿した通り約半分の種籾が芽出しに失敗し、それ以降肥料屋さんにアチコチ声をかけて頂いて何とか芽出しに成功して余った種籾を融通して頂きました。
結構どこの農家でもあるあるなのですが、様々な事を想定して実際の作付け面積に対して多めに種籾を確保します。結果的に田植えが終わると、ある程度稲が余る事になります。我が家でも過去に何度かあるのですが、毎年どこかしらの家で大なり小なり育苗失敗事案が発生しますが、そこに余った分(もしくは余りそうな分)の稲を融通します。
心配をよそに順調に育つ
何はともあれ植える事ができた分に関しては知れなりの生育状況になってくれています。
播種から1週間
我が家の分で、芽出しに難があった分のコシヒカリBL。まばらに出ているようにも見えるけど、これなら何とかなりそうです。
種籾自体はこの箱一面にビッシリと蒔かれているので結構な密度で目が出ます。一応この一箱辺り何粒蒔くかの基準のようなものがあるのですが、蒔き過ぎれば種が足りなくなりますし、蒔かな過ぎれば間がスカスカになってしまいます。
稲の密度が悪くてスカスカになってしまうと何が問題かと言いますと、一番は田植え機が稲を摘まみ取れなくなる事です。
その状態で田植え作業をすると、圃場には植えている所と植えていない所がアチコチにできる事になります。それは最終的に手で捕植作業を行う事を意味していますので2度手間で非常に無駄です。最初から手作業で田植えをするなら全然関係ないのですが。
播種から2週間
コチラはコシイブキ。いい感じのボリュームになりました^^。しっかり水を吸って真っすぐ伸びてくれています。
コチラはコシヒカリBL。イブキと比べると伸びが遅いように見えますが、イブキは早生品種なのでこの辺りから猛烈な差がついてきます。あと1週間もするとさすが早生品種…ってな具合で差がついてきますね。
コチラは我が家で芽出しした分の種籾の発芽状況なのですが、何とかうまい事みんな芽が伸びてくれています。樽を2つに分けて芽出しを行っていたのですが、曝気するポンプは一台だったので心配していました。
芽出しに失敗した種籾は完全廃棄
こうなってしまったのも全部ワタクシの責任です。
たい肥の山の上に積み上げられた様子が痛々しいですね。この様子が現代農業の闇と自分は思っています。
と言うのも、例えばこの事態が江戸時代とかだったら絶対に廃棄する事は無かったわけじゃないですか。別に芽出しができた物が育てば良いわけですから。
ところが現代農業ではやれ機械の都合だとか、やれ薬の都合だとか、やれ品質基準がどうとか…大人の事情によって大量のはね出しが発生しています。これから食料危機の時代がやってくると言われているのに、日本人は実にオメダタイ人種だなと思います。
結局この種籾の活用方法は無かったのでやむなく廃棄にしました。もうすでに消毒用の薬液に浸されているので鳥のエサなどにもできませんし…。
農業のロス(犠牲)は想像を絶する
今回のロスに限った話ではないのですが、農業をやっていると勿体ない精神がいかにウソであるかをいやと言うほど思い知らされます。
勿論のべつ幕なしとは言いません。ですが我が家でもすでにそうなのですが、気にしなくていい事を一生懸命気にして、一番大事な部分を一番ないがしろにしているのはとても多いです。我が家のトメも毎年大量に玉ねぎなどの野菜を腐らせていますし、玉ねぎやブロッコリーは規格外の物は当然出荷できませんから大半が廃棄になります。
ダメだったら捨てる…なんだか犬猫などのペットの処分にも似ている感覚のように感じています。
近年メディアの影響もあってかまるで聖人のように農家さん農家さんと言われるようになりました。大切に思って下さる事は本当に尊い事と思っていますが、実際はそんな事ありません。
我が家はまだ義父も現役でやっていますし、自分もこれにばっかり注力する余裕も無いですが、いずれ必ず一人でやる事になるのですから、それまで色々思案する日々です。
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