去年失敗した種籾の芽出し今年はなんとか上手くいった – 農家辞めます! 
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2023-04-11

去年失敗した種籾の芽出し今年はなんとか上手くいった

 さて今年も稲作の季節がやってまいりました。辞める辞めると言っても田んぼが処分できない以上放置するわけにもいかないので結局今年も作付けします^^;

育苗をするための芽出し作業

 稲作の播種作業は、種籾を水につけて予め芽を出させてから土を敷いた育苗箱に撒き、そこに土を被せて更に芽を伸ばさせてからプールを作って水に浸して圃場に植えられる長さまで育ててから田植えを行います。この工程を【育苗】と言いますが、その最初の段階で【芽出し】を行います。

 昨年この芽出しを失敗してしまい、餅米のコガネモチを結構な量ダメにしてしまいました。原因は浸した水の温度管理でした。

 水温の管理は、低い分にはあまり心配は無いです。ですが、低い状態のままでは成長が遅くなりいつまで経っても発芽せず、時間ばかりが掛かってしまうとそのままふやけてダメになってしまいます。

 そこで必要になるのが加温なのですが、沸かしてしまっては当然ダメなのでほんの少し水温を上げる、具体的には15度くらいを目安になるべく一定の水温をキープする感じです。逆にそれ以上の温度は良くないので我が家では15度を上限としています。それでも多少誤差程度には上がってしまうのですが、その状態で一週間もすれば芽が出揃います。

 ですがこの加温作業…昨年義父と交代で管理していたのですが、加温の為に使っていたポンプのスイッチを切り忘れている事に気付かずに一晩回してしまい、気付いた頃には時既に遅し…。種籾が茹で上がってしまいました。。。

水稲苗の芽出しに失敗!?対処法は!?もうすぐ田植えなのに… – 農家辞めます! (yamenou.com) ←やらかした当時の記事はコチラ

水中ポンプでばっ気加温する

 因みに加温に使っているポンプと言うのがコレです。加温用とかではなく、内に昔からあるただのポンプです。

 本当だったらサーモスタット付きのヒーターなんか使っていたらこんな間違いは起きなかったのでしょうが、義父は昔の人間なので慣れたやり方以外は絶対に認めないのです^^;。

 コチラは昨年やらかした時のコガネモチの種籾です。少々分かりにくいのですが。芽がヒョロっと長く伸びている物と、ポコっと出ているだけの物とがまばらになっています。本来なら二か所から芽がニョキっと出る感じなのですが、そうはなっていません。

 十分な発芽促進をしたにも関わらずこうなってしまっては芽が育たないのです。先端が赤くなっている物もチラホラありますが、これもダメです。

 コチラは今年のコガネモチの種籾です。全体的に鬼の角のようにしっかりとした芽が出ました。

 拡大した画像です。芽の揃いも良く、これなら大丈夫です。

種子消毒と芽出しはセットで行う

 芽出しの為に浸種すれば芽そのものはちゃんと出るのですが、問題はその出方なのです。一中一夜では変化が無いので最初は色んな事が心配になると思うのですが、育成はなるべくじっくり時間をかける方が、結果的に最速で上手くいく方法になる事が殆どです。

消毒を先に行う

 浸種の様子です。種子の消毒は完了した状態です。消毒は主に【いもち病】に対する対策です。使用する薬剤は定番のスポルタック乳剤です。我が家は1000倍希釈の24時間処理という方法で消毒しています。

いもち病はコワイ…

種苗店からはコシヒカリBLの種籾を仕入れて栽培していますが、このBLと言う品種自体がいもち病に強い品種として発明されたものなのでそこに輪をかけて消毒までするなんて少々やり過ぎな感じもするのですが、種籾を作る為に親になる稲を4パターンくらい用意するのですが、まれにその親稲がいもち病を持っている事があるそうなので消毒を掛ける必要があります。

 そこまでするくらいいもち病というのは、怖い病気なのです^^;。

 浸種が終わって無事に芽出しができた状態の種籾。一旦水を切る為にこんな感じで一晩置いておきます。

 我が家では品種の違う種籾を色違いのネットで分けています。

消毒が終わってから芽出し

 消毒が完了したら浸種をして芽出しを行います。

 その際種籾を水を流して薬を洗い流します。決してガシガシ洗ってはいけません!。軽く水で流してから浸種を行い、水が濁ったら取り替えてまた浸種を行うような要領で芽出しをしていきます。

 同じように消毒をして芽出しが完了したコシイブキの種籾です。

 早生品種のコシイブキですが、肥料の使用量や育成期間など生産に関わるコストが全体的に低く抑えられます。ですが、それ以上に取引価格が安いので本当なら生産するメリットがあまりありません。それでもコシイブキを作付けする理由は、一つの品種だけでは刈り取りの時期がまる被りするのでとても作業が追いつかないので、時期を調整する為でもあります。それ以外にも、販売価格が一般的なコシヒカリの半値くらいで済むので消費者的にも買いやすいというのが最大のメリットでしょうか。

 どんなに美味しい米を作っても、消費者が普段の食に取り入れるのに負担が大きくなっては何の意味もありませんので。

 コチラはコシヒカリBLの種籾です。これで概ね3町歩程です。

 種籾の仕入れは毎回余るくらいを注文します。工程は基本的に季節と共に進むので、後から稲が足りないとなってもなかなか取り返しがつかないので。

 それに、予め余るくらい作っておくと、どこかのウチがやらかした時に余った稲を融通する事ができます。

 何はともあれ今年は無事に芽が出てくれて良かった^^;さてはて、これからが本番ですね!。

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