実は専業農家を目指した事もあった話 ~後編~ – 農家辞めます! 
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2021-11-29

実は専業農家を目指した事もあった話 ~後編~

 こんにちは!Daiです!

 現在農繁期シーズンの中でもピークをむかえておりまして、一か月以上ぶりのブログ更新になります。

 前回の記事ではタイトル通り昔専業農家になる為に行動を起こした事もあった事を綴りました。

実は専業農家を目指した事もあった話 ~前編~ – 農家辞めます! (yamenou.com) ←前回の記事はコチラ

  兼業農家の社会的立場、専業農家になる為の情報収集や出荷先の確保、仕事を進めていく上での資金の工面など、自分が実際に体験してきた事をそのまま書きました。

 今回の記事ではどうして専業農家を諦めたのかを書いていきたいと思います。

『百姓は仕事じゃねぇ!』農業に対する価値観はまだ古いまま

 メディアでこれだけ農業が礼賛されるようになったのはホントここ数年の話です。高齢農家の中にもトレンドに明るい方はそれなりにおられるのですが、大半が昭和の価値観のまま今日まで来ています。

 我が家の義父もそうなのですが、基本的に田んぼや畑は『仕事ではない』んです。なぜ仕事として認められないのかと言うと、『収入が安定しない』ことと『出勤が無い』ことの二つが理由として本人たちは上げております。自分が住んでいる部落の農家の全員がそう言っているんですから大勢を占める価値観と言って間違いないと思います。

専業農家=プータロー

 自分は趣味で釣りをするのですが、同じ釣り仲間の間で無職なのに釣りばっかりしている人の事を『漁師』と呼んで茶化していた事がありました。

 仲間内で言っているだけなのでそこに大した意味は無いのですが、農家の間でも定職に就かずに田んぼや畑をやっている人の事を『専業農家』と呼んで蔑視しているのを見聞きした事があります。我々が無職で釣りばっかりしている友人に向かって漁師と呼ぶのと違って明らかに蔑視がこもっているのが分かりました。ここでは詳細は伏せる事にしますが。

 小規模の兼業農家が会社勤めを辞めて専業農家をやると蔑視されるのです。田舎って何かと目立つ事をするとすぐにイジメに遭うのですが、これもその典型と自分は思っています。

個人経営の専業農家は歓迎しない

 前回の記事では資金面で苦労したところまでお話しました。

 と言うのも、新規就農者や独立就農者などを支援するための助成制度が新潟県にあったのですが、自分はこれに当てはまらなかったのでバックアップは受けられずにいました。

非該当になった理由

 自分は兼業農家に入り婿で入った立場だったのですが、『既に農地もあって実際に営農を行っている』という事もあって助成金非該当となりました。

 実はこの助成金、当時は『家庭内後継者の助成も含む』となっている制度でした。その他細かい制約も込みで制度上自分は該当者のハズでした。

 随分後になって知ったのですが、当時突貫で作った助成金制度だった為、非公開の審査基準で申請者をフルイに掛けていたそうです。

 『事業承継という形で家業を継ぎ、専業農家になる事自体は私も応援したい気持ちなのですが、実際にお金を出す側からしてみたら「一個人のやりたい事を支援するのは助成金の理念上適当ではない」と判断されたようです。もしこれが数人で集まって法人化するのであれば、或いは助成も受けられたのでしょうが…』

 個人事業主は今でも不安定で無責任と思われている節があります。近年増えてきたフリーランスだって個人事業主ですが、世間の風当たりは少々強めのようです。

 そんな不安定な個人事業主を公金で支援するなど言語道断と言った感じだったようです。自分以外にも同じように個人で専業農家を始めようとしていた人はことごとく弾かれたそうです。

行政が一番支援したかったのは『法人や集落に入る新規就農者』

 建前上自分で農業を始める方向けの支援制度でしたが、実態は担い手が不足している営農法人や集落などに人材を斡旋する事が目的の柱になっていたようです。

 確かに自分で始める人よりは、育てる人がいる所に行く人を支援した方が安全ではあります。仮にその人が飛んでしまっても、事業自体はその後も法人や集落で継続していくでしょう。もしこれが個人なら、飛んでしまったら農地も民家も放置されてしまうリスクがあるので。

 自分はそのリスクに全く当たらないのに弾かれたのは流石にヒドイと今でも思いますがw。

 受け入れる側の営農法人や集落なども、基本的に自分達の都合の良い人しか必要としていません。自立している人よりは『なんでもいう事を聞いて自分の手伝いをする人』が欲しいのです。後継者と口では言ったりもしますが、ニュアンスが大違いなので注意です。

こぼれ話

 話は逸れますが、猟友会でも似た様な話がありました。

 猟友会も近年担い手不足で苦労しているようです。新潟県でもピーク時1万人程居た猟友会員も今では2,000人で下げ止まりとなっているようです。

 こちらでも担い手確保の為に有害駆除に必ず参加する事を条件に補助金を出していますが、色々聞いてみると多くの支部では『誰でも増えりゃ良いってもんでもねぇんだけどなぁ…』や、『ウチはむしろ減ってくれるくらいの方がありがたいんだが』なんて声も聞こえました。確かに、よく分からんヤツが入って来て図々しく教えろとか言われても困るでしょうし、基本的にハンターって趣味でやるので友人以外は仲間じゃないみたいな所もありますし^^;。

 いずれにせよ猟友会員が減って困るのは猟友会であってハンターではないという事です。むしろハンター的にはライバルが減るのでとても都合が良いと思います。自分が活動する地域でも一部のハンターが一方的にナワバリを主張しているエリアがありますが(勿論公的に認められているワケではい)、そういう事が一日も早く無くなって欲しいと思います。

 

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