農家を辞めるのは簡単じゃない、土地に縛られる農業 – 農家辞めます! 
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2021-02-27

農家を辞めるのは簡単じゃない、土地に縛られる農業

 記事タイトルだけで非常に暗い話題ですw。でも、ネガティブな部分こそ現実な事が多いので目を背ける訳にはいかないんです。

 このブログは農家を辞める事を最終目標にしていますが、実は農家を辞めるのはそんなに簡単な事じゃないんです。勿論、人によって事情も変わりますし、それ次第ではスパっと辞める人も居るのも事実です。

 では我が家の場合どんな事情があって農家を辞めずにいるのか、いくつか挙げてみます。

◆農地の問題

 まずズバリこれでしょう。農業は始めるのも辞めるのもこの農地の問題が非常にデカいです。なんせ動かす事も出来ないし、法律的にも非常に複雑怪奇な存在なのでこれに一番振り回されます。特に我が家は水田がメインなので、畑よりも少々厄介事が多いように思います。

●耕作は放棄できない

 現在日本中で問題になっている耕作放棄地。その多くは山間地で非常に不便な畑や田んぼである事が多いですが、近年土地改良を伴った大きな農業区域でも徐々に出始めています。特に畑地は耕作放棄されやすい傾向があるみたいですね。

 では我が家の場合どうなのか。水田の場合畑と違って一度放棄すると元に戻すのに非常に苦労します。地力や土のクセが一年の放棄でガラっと変わるみたいですね。ただ、それよりももうチョット申告な話があります。

土地が荒れた事による問題

 耕作をしなくなると当然その農地は雑草だらけになります。するとそこに虫が湧きます。もしくは他の所から来た虫の良い隠れ家になります。その虫が原因で近隣の畑や田んぼに作物の病気や食害が蔓延します。これが一番の問題です。

 むやみに放棄した事によって発生した農業被害、ただでさえ閉塞空間の農村では荒れ地にした地主はもう村八分状態(実際に目の当たりにした)。今後は土地の管理を怠った事による農業被害の訴訟なんてのも増えてくるなんて物騒な話までも。

 特に水田は農地が密接して広がっているので、一か所荒れると問題が広がりやすい傾向があります。特に昨年はカメムシ被害が近隣の耕作放棄地から広がった事案がありました。

◆居住の問題

 農家辞めたら広い民家で気楽な余生…なんて上手くいくはずもなく。。。我が家の場合近くに買い物ができる場所も無く、働くにも遠くまで行かなければ働き口が無い不便な所にあります。まぁ、農村なんてどこもそんなもんですが^^;

 ではそれの何がどう問題なのかと言うと、農家をやらずに農村で暮らすのは非常にコスト高なんです。儲かってはいないとはいえ、ある程度の収入にはなっている農業。農村で生きていく上で多少の足しになっているのも事実です。

●田舎暮らしにゃお金がかかる

 少し前まで田舎暮らしのイメージに、現役を終えた世代が老後をのんびり悠々と低コストで暮らすイメージが蔓延っていました。ですが実際には物価は高く、地域でかかるお金も多く、いざ働きに出ようとしても安い賃金では職場に通うだけで収入がかなり目減りしてしまう。そんな実態が明るみに出てからはそんな田舎暮らしのイメージも聞く事は無くなりました。

 具体的に言うと、車のオイル交換が中心部やその郊外近辺の大型店で約5,000円だったとして、自分の住んでいる地域の整備工場では7,500円程になりますし、新車の軽自動車の車検に10万円とか普通に請求されます。それが本来の割引など無い適正価格なのかも知れませんが、これが結構辛いのです。他にも自治会や消防絡みの支出も…。

農家を辞めたら農村は出た方が良い

 結局農村は農家を続けるための場所なので、農家を辞めるなら農村での暮らしはひたすら不便なだけですし、不便を楽しむ場所でもないのが実態です。農家を辞めると同時に、老後を視野に別の居所も同時に考えなければなりません

◆農地や家屋の処分の問題

 農家を辞めて郊外へ引っ越すにしても、残った農地や家屋はどうすればいいのか。実際引き取り手がいないのが現状で、かと言って定期的に手入れに来ないといけない。

●家屋の処分

 近年空き家問題が耕作放棄地よりも深刻化しているニュースを沢山見かけます。新潟では、空き家が雪の重みで倒壊して隣の家に被害を出したり、通学路をキケンに晒したりと、状況はかなり厳しいみたいです。

 なのでもし農村を離れるなら当然、人手に渡るまでそのような事が起こらないように定期的に手入れに来なければいけませんし、田舎も結構治安が悪い事が多いので、管理はしっかり行わなければなりません。田舎の不動産は買い手が付かなくて大変な思いをするのが目に見えていますね^^;

●農地の処分

 個人的にはコレが一番悩みどころです。特に田んぼを売るのは結構面倒で、農業委員会が間に入ってやり取りしなければならないみたいで、この辺の詳しい事もこれから調べて、体験してこのブログに残していきたいと思っています。

農地のやり取りは金額より人の信用

 農地に限らず土地の売り買いはすんなり行かない事山のごとしです。特に農地はトラブルの坩堝と言っても過言ではありません。適正価格で売り渡したのに相手から『あいつにぼったくられた!』などと言って村中に吹聴される事もあります。

 田んぼを売り渡す時は大体隣で耕作している田んぼの持ち主に売り渡す事が多いのですが、この人が必ずしも信用できる人とは限りません。その信用とは人格としての信用でして、貸し借りでも毎年のように言った言わないの話をしに貸主の家に乗り込んでくる人も知ってますし、辞めたいという弱みに付け込んで第三者を間に入れない交渉をしてくる人もいます。親戚同士か、本当にシッカリ信頼関係を結んだ人としか農地はやり取りできないのが現状です。

 実際農家を辞めるにあたって色々調べたり聞いたりしてはいるのですが、本当ロクな話を聞かない^^;結局人間が一番厄介な存在ですね(汗)。

◆親が辞めない!

 ここが最終的な決め手になって現在に至ります^^;

 自分の場合は義両親になるのですが、老親ともなると農業辞めたら仕事が無くなりやる事が無いのです。長い事やってきた事なので今更強引に辞めさせるわけにもいかず、みんなズルズルとやっているのが現状ですね。

 完全に辞めるまでは、農地も家も取引先も全部責任があります!ブーブー文句垂れながらも、辞めるまではそれなりに頑張りますよ!

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