余りに根深い田んぼの水引問題 – 農家辞めます! 
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2022-06-14

余りに根深い田んぼの水引問題

 去る令和4年5月の末時分、山陰地方で正当な理由無く鉈とカマを携帯した疑いで男が銃刀法違反で逮捕されたというニュースがありました。

 男は『田んぼの水を引いている奴が今日もやっている。今から行く、警察も来い』などと警察に電話、駆け付けた警察官に現行犯逮捕されたというニュースでした。

 あぁまたか…昭和も終わって平成も終わり、令和に代わった事も特に話題にならなくなったこの時代でも毎年必ずこの手の話が出て来るな。個人的にはそんな感想でした。

我田引水、水争い

 遥か昔から農業と水は切れない問題でした。ただこの水の話、語られる話の殆どが天候に関わる事だけで、天候よりもずっと恐ろしい『人』の問題がまるで臭い物に蓋をするかのように語られる事が避けられてきました。

 上記のニュースはこれだけ聞くと何らかの揉め事でキレた男が警察にわざわざ『これからやるぞ!』と予告して逮捕されたイカれたニュースのように見えますが、我々農家からしてみたら大なり小なりあるあるで、自分個人としては正直逮捕された男に同情の余地すらあると思える内容なのです。

 ニュースでは事件の背景に何があったのかは報道されていませんが、農家なら容易に想像がつきます。

 個人的な推察ですが、積年の問題を抱えとうとう我慢も限界になり、事を起こそうと決めたのでしょうが、それは人として正しくない事は重々承知。だから事を起こす前に自ら通報して騒ぎにすると同時に自分を止めてもらう…少々無理はあるでしょうが第三者に関わってもらう事でそうしたかったのではと思います。

なぜ水で争うのか

 農業にとって水は最重要資源です。水が無ければ作物は絶対に育ちません。特に稲作が盛んな日本では、稲を水稲栽培と言う方法で育てます。つまり、田んぼです。この田んぼと言う方法は大量の水を使用します。地域によっては田植え直後の時期に河川の水位が下がるくらいに。

 多くの水田耕作地帯では、田んぼで使うための水を流すために水路が整備されています。水路ではなく圧送ポンプで送水する事もあります。水路やポンプ場に近い所を『上手(かみて)』、遠い所を『下手(しもて)』と言ったりします。

 何となく想像できると思いますが、水は上手側が有利です。上手で水を引いていると多くの場合、下手に水は回ってきません。田んぼに水が回って来ないと稲の生育に影響が出ます。タダでさえ安い米のデキが悪ければ尚更収益に影響が出ます。そのまま死活問題に直結します。

 田んぼにはそのような有利不利関係が昔から根深く存在し、それが古からの水争いの根幹にあるのです。

自分の事しか考えてない農家は、普通に居ます!

 自分の稲が良く育つ方が良いし、その為に水の管理が重要です。暑い日は多めに田んぼに水を張りたいし、逆に雨が続くなら不要な分はどんどん落としたいです。夏場の出穂期に猛暑日が当たれば、一日中かけ流しの方が良いですし、良い米を作りにはそれしかベストな方法が無いのです。そうやって水の管理を徹底すれば思うような良い米が沢山作れて自分はハッピーです。

 そうです、全て自分の思い通りに良い米を作る為にそうするのです。当然ですが上記のような事をすれば下手の田んぼに十分な水は回って来ないですし、逆にガンガン落とされてしまっては、特に稲刈りの時期などいつまで経っても水がハケず、最終的に穂は倒れ低等級(最悪クズ米に…)になります。

 条件の良い田んぼは村の古参や有力者が持ちます。特に高低差のある地域ではエグイくらいですね^^;。当然ですがその方が良い米が作れて収入にもなりまし、何より田んぼとして扱いやすいですから。その為に条件の悪い田んぼで苦労する人が居ても、それは別に知った事ではないので。

 昨今メディアの影響で農家が聖人か何かのように礼賛される風潮がありますが、テレビでいうような地域の助け合いなんてあんまり真に受けない方が良いです。あれは実際には助け合いではなくただの同調圧力ですから。

水で争わない方法はただ一つ…

 それは『農業を辞める』事です。はい、身も蓋も無い話ですが、これ以上の積極的な方法が無いのが現実です。自分が農業を辞めて、思い通りに農業を営みたい人にその道を譲ってあげれば問題は起こりません。と、同時に解決もしませんが^^;。

 農村は年功序列です。長く村に住み、長く農業を営んでいる人が絶対的に優先されます。もうそれは仕方のない事です。農家に揉め事は付き物です。隣近所と揉めるのが嫌ならもう辞めるしかありません。

これも後継者問題の根幹にあるもの

 今回の問題もそうですが、日本の農業は閉塞社会なので一度話が拗れると解決は不可能と考えても良いでしょう。水の問題、土地の範囲の問題、組合や団体の利権の問題…全て大きな声を出す人が得をします。

 これからの農業を考える上で後継者問題が常に上がっていますが、こんな状態の農業界に一体誰が好き好んで来てくれるのでしょうか。

 超高齢化社会を迎えて世代交代が困難な時代になり、後継者不足はますます加速する事でしょう。それでも農家同士の問題揉め事が後を絶たず、各農家のせがれ達はそれを目の当たりにして当然のように跡継ぎはしない。目の前で自分の親が大なり小なり揉めたり、そうでなくても隣近所様に滅茶苦茶に気を使っていたら農家なんてやりたいと思わないでしょう。

 今回件のニュースを目にしてこの問題に触れてみましたが、また時間がある時に農家の人間関係について色々綴ってみたいと思います。

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コメント27件

  • 哀しい長男 より:

    ホント、的確すぎて農水省やJAの幹部の必読にして欲しい良ブログw。

    私も管理出来ない山を売ったら、毎年やってる畑の草木焼いたのを産業廃棄物対策課に通報されて調査受けました。たかが、数十万で凄いやっかみ。

    実家は20年くらい放置してあったけど、叔母さんによると3mくらい敷地削られてるとのこと。

    持ってる竹藪の近くに後から土地を買収して拡張して近くにきた農家から笹が飛んできて迷惑だから撤去しろ。ここの業者なら200万円くらいでできるといきなり言われた。道際はチェーンソーで切ったけど、中は勝手にしてくれといってユンボで掘らせました。やっと不動産屋に売れてホットしました。

    はい。私は親が団地に家を買って、ここ出てくれていたことに、メッチャ感謝してます。決して、母親がこっちに寄りつかなかった理由が後で良く分かりました。早く、農業って言うか農村辞められると良いですね。

    • Dai より:

      コメントありがとうございます!

      哀しい長男さんも随分と土地の問題でご苦労なさったようですね(汗)。一般的には考えられないようなお話と捉えられがちですが、似たような話は自分の身近でも多々あります^^;。キラキラ農業は様々なメディアでコンテンツ化されているのに、もっとこの手の話を表に出してほしいと思います。

      現在はムラ社会から解放されているようで何よりです。ありがとう御座います!農村辞めるのも簡単ではないですが、それまではこれからの何かが変わっていくきっかけになるように頑張っていきたいです^^。

  • yasu より:

    なぜ農村をなぜムラ社会と言ってバカにするのですかね。農家の人間関係についてもバカにする予定ですか?辞めるなら勝手に辞めればいいしあなたの小さなコミュニティの中で起こった事が日本全国全ての農家が体験してる事のように話す、水を回さない人と同じくらい陰湿な人に思います。そりゃ水も回ってきませんよ。

    • Dai より:

       yasuさんこんにちは、コメントありがとうございます。
      敢えてこのような言い方をしたりもしますが、正直な気持ちです。ご批判は真摯に受け止めたいと思います。

  • 通行人 より:

    主は間違っていない
    むしろこういう優秀な人間が農業を継続できない事の方が大問題
    改めてコメントします

    同県専業(賤業)同業者より

    • Dai より:

      通行人さんこんにちは、コメントありがとうございます!
      自分にはもったいないお言葉、大変恐縮です!
      日本の農業は国家の基幹産業に位置付けられており、本来であればもっと誇りを持って事業をしていけるはずなのですが、…
      通行人さんはご専業との事、資材費は高騰するのに取引価格は下落する矛盾の中大変な経営を強いられている事でしょうが、どうか事業が続いていきますように!

  • 通行人 より:

    主はとてもフラットな見方が出来ていると思いますよ
    農家の常識は世間の非常識、稲作の常識は畑作酪農の非常識w

    さて、農業というカテゴリは余りにも多種多様で、私がブログを立ち上げなければ網羅できない複雑怪奇なものなので、ここではポイントを絞ってなるべく長文にならないよう努力しますw

    このトピックでは「農業=稲作」「同県内の事情」という前提でお読みください
    畑と田んぼの事情を混同して収拾のつかない論調になる事は良くありますね

    婿殿の立場だからこそ冷静に見れているし、また責任放棄しているわけでもない、頭が下がります
    そしてまともな人間だったら今稲作なんかやろうとしません
    それだけネガティブ要素が多すぎるという事です

    あ、あとDaiさんがあえてチャレンジングなスタンスでブログを書いている事を受け入れられない農民というのがそもそも狭量なのです
    そしてそれ故に離農するのは正解なのかもしれません
    あるいは同志を見つけるか

    そもそも高度経済成長期からずっと抱えてきた問題がコロナ、ウクライナ、SDGsで表面化しただけなんですが、やはり目に見える形になってから皆さん取り乱し始めて、さらに自己研鑽ではなく他者への攻撃を始めるのですよね

    確かに農家をちゃんと教育してこなかった農政の罪は大きいですが、そもそも農政というのはJA、農水省、時の政権、そしてアメリカ様wのせめぎ合いによって決まります
    そのパワーバランスを理解せずに安直に政権批判するのはここでは避けたいと思います

    米に関しては、今まで散々高い米価で美味しい思いをしてきた高齢者のノスタルジーは、今の時代通用しなくなったのです、前述の社会情勢の劇的な変化によってね

    はっきり言って魚沼ブランド以外は切り捨てられました
    酷い話です
    そして官僚は馬鹿ではありません
    表立って「じゃこれから小規模農家はスクラップしまーす」なんて言いません
    巧妙に10年以上前からソフトランディングさせてます

    そんな中、過去の美味しい思いが忘れられない稲作農家、余りにも光明がなさすぎるw

    ブログの件に関しては県内の裏事情はちょくちょく情報入ってきますし、自分の目でもあちこち見てます
    この県はブランドに甘やかされ続けた結果、栽培技術すら崩壊している農家が多すぎる
    他県はみんな追いつけ追い越せで、ボケッとしてるのは県人のみ

    篤農家もほぼ壊滅だよなあ
    悪貨は良貨を駆逐する、です

    この位の意識を持ってやらないと生き残れませんよって事です

    ちなみにDaiさんが面接に来たら即採用ですね
    まーまともな人間は農業やらない方がいいんじゃね、って思うけどw

    賤業農家より自戒を込めて

    • Dai より:

      通行人さんのお話、よく分かります。
      ”はっきり言って魚沼ブランド以外は切り捨てられました”
      もうこの一言に現在の情勢の全てが物語られると思います。そもそも兼業農家というやり方に無理があるのです。生産者全体の大部分を占める片手間趣味程度のモチベーションの生産者に地域のブランド力を背負わせるのは明らかに間違っています。兼業農家は数も多いですし、票も取れるでしょうから生かさず殺さずと言った具合で扱われてきたのでしょう。
      通行人さんが自戒の念を込めてされたお話、自分も同じく肝に銘じておきたいと思います。。。

  • 通行人 より:

    あ、一応返信不要でw

    あのー、兼業であることを卑下なさらないでください
    むしろ、私はやっつけ具合では専業の方が罪深いと思ってます

    2050年目標の「減減50%転作25%有機25%慣行主食米ゼロ」は前倒しになってますが、農水官僚的には渡りに船です

    いつの間にか稲作農家は「人間の食い物比率が一番低い農家」になってしまったのです
    やり甲斐もクソもあるかっつーのw

    私は事故米平気で出荷するような拝金主義ではないので

  • 通行人 より:

    「農地を守ってください、ただし餌米で」w

  • たぬき より:

    あ~わかりますね。
    水問題は深刻です。
    私は五反の家庭菜園で、農を業としてませんから、まあ仕方ないで済ませてます。それでもアルアルですから、農業をされている方の苦労は計り知れないでしょう。
    頭が下がります。
    私は、諦めているのであえて、事例をあげません。
    農業は大変です。私も親が農家なら跡継ぎはお断りです。
    でも、人の暮らしにとって農は豊かさだと思うのです。まあ、個人の感想かもしれませんが…
    自給菜園を行う人が増えたら良いのにと思います。
    でも、夢の田舎暮らしは幻想でしょうね。水問題以外も色々…
    それでも敢えて農の無い生活は考えられません。
    難しいとは思いますが、みんなが気楽に田畑を楽しめる時代がくると良いのですが。

    • Dai より:

      たぬきさん、コメントありがとうございます!
      水は農業にとって純然たる生命線ですね。どんなに技術が進歩しても、どんなに努力してもそれ無くして農業は全く成立しません。
      家庭菜園をされいる方も同様の事案に悩まされる事があるのは初めて知りました。田んぼや畑は一本の水路を全員で一気に使うから問題が起きやすい側面もありますが、『業』としていないと仰られるある方の菜園でも起こる事ならそれはもう日本の農業とは『そう言う性質のもの』と捉えるほかないのではと思ってしまいます。他の産業ではあまりないのではと考えます。

      とんでもございません。仰る通り、農は本来人間が長い歴史の中で築き上げた豊かさの象徴的側面もあります。そしてそれは元来、産業としてではなくあくまで自分の家や集落で食べる物を確保する一つの手段でした。
      夢の田舎暮らし…実現するためにはこの国ではあまりに狭すぎます。たぬきさんは土いじりが好きなのですね。畑が沢山実った時の感動は何ものにも代えがたいですよね^^。みんなが気楽に田畑を楽しめる時代…きっとまだまだ先なのでしょうが、その時代が来たら自分も辞めるなんて言わずに楽しむようにしたいと思います。

  • 福岡の農民 より:

    Daiさん、ご苦労なされてるのですね。
    周りにも気遣いしているにもかかわらず、水管理で揉める田舎の風習へのご苦労お察しします。
    ただ、Daiさんのようにご苦労されている方の主張を利用して冗長してる人間がいるのも事実です。まずはいいものを作る、収益を残した上でDaiさんのように主張するのが大事だと感じます。
    世間では一つの側面だけを見て、「水稲を作る人間は馬鹿だ」という人間もいますが、それもただの自己満足で、儲かってる方へのやっかみだと感じます。

    • Dai より:

      福岡の農民さん、コメントありがとうございます!
      水管理に関する苦労はどうしたって付き物になってしまいますね。まして米どころとして一大産地となっている新潟では。
      仰る事、よく理解できます。人間堪えられない不満を抱えるとどうしても同じ者はおらぬか、共感できる者はおらぬかと探してしまい、見つけては『それ!みた事か!』と対立感情が出てしまうと思うのです。
      『まずはいいものを作る』この一言に尽きると思います。それこそが先ず自分がやるべき事であり、最後に辿り着く場所であると思います。不満を抱くか、現状と向き合うかで在り方も変わる事でしょう。
      米どころと言われる新潟では今でも『米はバカでも作れる』と言う話が出る事もあります。組合などに言われるがままのやり方で言われるがままに資材を購入していた頃は、ある意味ではそうだったと言える部分もあるのでしょう。同じエリアでも人によってやり方が違うのが当たり前になった今では、こうれはもう当てはまらないと自分も思います。儲かっている方へのやっかみ…これは非常にありますねw^^;
      コメントを頂いて改めて自分なりに考えてみると、コレはコミュニティーの在り方に根本的な部分を感じました。農業水田に限らず例えば会社組織でも所謂ムラ社会化している所では似たような事が起きていると言えるかもしれません。
      ありがとうございます。より思慮を深めたいと思います。

  • パリ より:

    こんにちは。
    たまたまこのブログを発見しました。
    私は趣味で畑を借りて菜園をしてますが、実際の農家の方の闇(苦労)が垣間見えました笑
    私のような趣味であれば楽しいですがね。。
    コメント欄も実際やられてる方の真に迫る意見があり普段のテレビとかで聞かないような話なので勉強になります。
    これから他の記事も読ませてもらいます。
    良いとブログを発見しました(^^)

    • Dai より:

      パリさんこんにちは、コメントありがとうございます!
      拙いブログですが、見つけて下さりありがとうございます!昨今メディアなどでは農家さん農家さんとまるで聖人のように扱われる事がありがちなのですが、実態は狭小なコミュニティーによって毒されたドロついた人間関係のるつぼです(チョット言い過ぎてますw)。
      趣味の菜園をされているとの事ですが、それこそが本来あるべき『自分の生活の為の農業』の形だと思うのです。本来農業は自分達の食べる分だけを作るのが普通でしたから。改めて産業としての現代農業の過剰な負荷が掛かっている部分にギモンを感じています。
      始めは軽い気持ちで始めたブログなのですが、思っていた以上に沢山の方に見て頂けて嬉しいです!。テレビなどでは絶対伝わらない、田舎や農業の生々しい現実を忖度無しで綴っていきたいと思います。と、同時に日本の原風景にも農業は根付いているので、どうすれば大切なモノを守り伝えていけるのかも同時に考えながら自分の言葉で発信したいと思いますので、不定期更新ではありますが、またお手隙の時にでも覗きに来て下さるとうれしいです^^。

  • パリ より:

    早速のご返信ありがとうございます(^^)
    全部読ませて頂きました!本当にいいブログですね。
    お忙しいと思いますのでご都合が良いときにまた投稿期待してます。
    そこで実際に農業をされている方にご質問が。
    答えられる範囲で構いません。もし長くなりそうなら新規投稿の方でも良いのですが。

    質問内容は、現状の農政を取り巻くそもそもの原因です。

    私は農家とは無縁なサラリーマン家庭に育った家庭菜園好きですが、耕作放棄、後継ぎ、水問題、農業団体とかの闇(?)とかに関心がありそういった記事とか読むのですが、そもそもの現状の農家の根本の原因を考えると戦後の「農地開放」が原因だったのではと勝手に思ってます。
    それ故に上記水問題等も起きるのではと。水問題って例えるなら町工場で電気を巡って喧嘩するようなものなのかなと。町工場毎に電気を巡って出来不出来があれば生産そのものの問題であり、現状の農政は余りに次元が低い争いをせざる得ない状況なのかなと感じております。
    解決策としては行政主導で、農地の集約からの法人化しかないのかと、遊びでやってるものが偉そうに思ってます。。
    ですが、戦前でもアメリカの農業をみた政治家が、いわゆる日本の「農業」は「工業」ではないと嘆いたっていう話もあり、農地開放は関係ないのかなあとか悶々とします。
    と、農家の方の苦労も知らないものが勝手に述べました。お許しを!

    • Dai より:

      パリさんこんばんは、拙い文章のブログで大変恐縮ですが、とても嬉しいです!
      ご質問ありがとうございます!コメントやご質問にはどんどん応えていきたいと思いますので、どうぞ遠慮なく!

      『農地解放』が農業を取り巻く諸問題の根源にあるのでは…との事ですが、概ねそうではあると思います。ですが極個人的な意見を言わせて頂くなら『農地解放のせいにして問題の根本に蓋をしている』と考えます。記事の水問題も、昔は江戸時代や戦国時代には大なり小なり争った言い伝えがありますし、発端は弥生時代にまで遡ります。稲作と共に農業が現在の日本に伝来して以降、土地を囲って所有し自然界にあった共有財産と言える自然環境を独占して使うようになってからあらゆる『争い』が始まったと言われています。そして農地解放は現代の民主国家としての日本の在り方と経済発展にとても必要な要素だったと考えます。問題は様々あるのしょうが、良いと悪いはコインの裏表です。農地解放によって得たものの方が圧倒的に多いです。それに、農業を取り巻く現代の諸問題は別に農地解放をしなくても起きた事でしょう。

      行政主導によって農地集約からの法人化は確かに理にかなっていると思います。それだけ深刻な問題なら権力を持っている誰かが音頭を取って法律ごと変えて大胆に問題解決に乗り出さなければいつまで経ってもこのままです。ですが、現実は『民間は行政の力を過大評価し過ぎている』と思うのです。確かに行政は問答無用で税金を取ったり、問答無用でそれを好きなように使える力を持っていますが、何か事を起こそうとしてもそもそもの仕組みとして簡単に行えないようになっています(だから新潟が誇る田中角栄先生もお金で沢山の事を済ませました)。農地の集約はそもそも古来からの村や町の造りの都合上、今更ほぼ不可能な状態にあります。これは日本に限らず、あのアメリカでさえ同じ問題を抱えています。昔は必要なかった農地集約、農業の前提が変わってしまっている事が原因なのです。

      そして農業の法人化…これに関しては現在行政も含めた関係者は大変努力して、更に成果もかなり出ていると思います。これはテクノロジーの進化もこれに貢献しています。逆に言うと、『これに付いて来れない人も多く居る』のです。法人化する以上利益を上げなければなりません。更にその利益を持って小規模な範囲になるとは言え出資者に対する配当も出さなければなりません。これができずに倒産すれば結局元の木阿弥です。実は農業の法人化は現在ではあまりメリットがあるとは思われていないのです。野菜工場のような技術がもっとコモディティ化してくれば、舞茸生産のような事業もできるのでしょうが…。

      日本の農業は工業ではない…これは日本とそれ以外の国ではそもそも農業に対する考え方が違うのです。日本の農業はとても『宗教色が濃い』です。対して特に欧米では、『純粋に食料の生産』でしかないのです。ここら辺の話は紐解いていくととても面白いですよ^^。神道の神話からお稲荷さんまで、農業に絡んで神話や民話がこれ程までに多いのは世界広しと言えど日本くらいなものではないでしょうか。自分も沢山の資料を見てきましたが、確かに欧米の農業は超大型の戦車みたいな機械をガンガン走らせて、その様は確かに『テーマパークを造るような大規模な土木作業』のようにも見えますね。

      近頃はパリさんのような疑問を抱く方が増えたように思います。メディアでも積極的に取り上げているからだと思います。『問題』と言うのは、目に触れて、意識しなければ問題にはなりませんから。
      とても良い質問を頂戴させて頂き感謝します!自分も改めて掘り下げて勉強したいと思いますし、もう少しで稲刈りや米の出荷も終わりますので、落ち着いたら改めて記事にしたい(私見だらけになってしまいそうですがW)と思います!

  • パリ より:

    パリです。こんばんは。
    素人の意見に真摯にお答え頂きありがとうございます😊😊
    農地開放の水問題等は確かに弥生時代からだろうなと思いました😅
    行政主導も古代からの町の造り云々も確かにそうだよなと。
    工業農業で農業は宗教要素は仰るとおり村の祭りから新嘗祭含め多分に宗教的要素が強いですもんね。

    その上で更問させて下さい。すいません。

    ・農地開放の部分で「農地解放によって得たものの方が圧倒的に多いです。」の部分ですがこれは具体的にどういった事でしょうか?小作農家の方が自分の土地を取得できたことでしょうか?

    ・行政主導の部分で「アメリカでさえ同じ問題を抱えています」というのは良く分からなくて、各農家の集約が無理ということですかね?アメリカのイメージだと農地がだだっ広いので集約もそこまで煩雑にならないようなイメージがあります。

    ・工業農業の部分で「欧米では、『純粋に食料の生産」という所ですが移民国家のアメリカ、オーストラリアはわかるんですが欧州もそうなんでしょうか?
    近々あるハロウィンなんかも収穫祭のイメージがあります。歴史ある国家では宗教要素と農業が絡まっているので工業になり得ないだと納得感があります。

    と、重箱の隅つつくような生意気な更問ですいません。議論がしたいわけではなく普段こんな話ができないのでさせてもらってます。。

    • Dai より:

      パリさん、こんばんは!
      とんでもございません!自分もエラそうな事言えるご身分でもないです^^;

      農地解放によって所謂『地主様』ではなく個人が農地を所有する事ができるようになりました。この事によって農地が広がるエリアの再開発を後押しするようになります。個人が土地を所有する事で都市計画が発足したなどの際に土地の買収が容易になりました。他にも日本は元々社会主義的な部分がありますが(各地にある地主と小作人争議の歴史など)、個人が土地を所有する事で個人の力が強くなり、都会に近い所では都市開発が、田舎では自立した生計が立つようになりました。日本の民主化を進めるうえで農地解放は重要だったのです!。それくらい地主の権力は強かったのです。それに、農地解放が行われなくても現代の耕作放棄問題は避けて通れなかったと思います^^;。なんらかの理由で地主権力が倒れてしまえば、小作人も広大な農地も現代以上に無事じゃ済まされなかった事でしょう。農地解放が解りやすい悪者扱いを受けていますが、それが無ければ今の日本の形は随分違った事と思います。

      そうです!。土地が広く北海道もビックリの広大な畑が広がるイメージのアメリカですが、現実は日本と同じで(と、言ってもスケールはかなりありますがw)農地が広がるエリアにいくつもの民家や集落が点在している事も珍しくないです。アメリカも日本程でないにしても兼業農家が多く、農地は離れて点在しているので距離や水路など集約の壁は日本とあまり変わらないのです。アイダホ州のように農業大国のような州もあれば、東海岸の州のように日本みたいに細かい農地が寄り集まるような所も。勿論それぞれ所有者が居てそれぞれの農業を営んでいますので、集約となると日本と同じようにハードルは高いのです。行政の力で集約化を進めている所もあると聞きましたが、事はそう上手く運ばないようです^^;。

      これは自分が勉強してきた中で感じた事なのですが、『日本の農業の価値観はかなり特殊』なのではと思います。もっと探せば、例えば古い民族が根付くような地域では同じように宗教的要素が強い農業を営む所もあると思いますが、基本的に世界の農業は純粋な食料生産としての面が強いです。欧州地域の農業は一見伝統的な雰囲気がありますが、宗教的と言うよりは『伝統的』と言った方がしっくり来るかもしれません。欧州地域の農業は職人技のようなところがありますね。確かにハロウィンには収穫を祝う面もありますが、基本は先祖霊への感謝祭(日本でいう所のお盆に当たる)なのです。なので晩期の土手カボチャくらいしか登場しないのだと思います。

      うまくお話ができないのは自分の勉強が足りない証拠です^^;。ありがとうございます!ディスカッションは大事にしていきたいと思っていますので、コメントは力の限りお答えさせて頂きたいと思います!。よろしくお願いします!

  • 通行人 より:

    お久しぶり~
    応援してるよ~w

    • Dai より:

      通行人さん、ご無沙汰しております^^
      暫く更新ができてなくて申し訳ありません(汗)実は昨今の物価高により、このブログを公開しているサーバーの維持費が急騰して今月中に閉鎖する予定にしています^^;本当は投稿したい事はまだあるのですが、現状の方で少々やりづらい事が続いておりましてなかなか手を付けられないでいました。。。
      まだ予定なのでもう一年残してみようかとも思いますが、閉鎖の際はどうぞご容赦下さいませ^^;

      • 通行人 より:

        お元気そうで何よりです
        サーバーまで高騰ですか、参っちゃいますねえ
        昨年は昨年で酷暑でとどめ刺されましたしね^^;

        最近は主戦場をyoutubeからツイッターに移しました
        最近yotubeは規制が酷くて会話が成立しません
        またご縁があればニアミスするかもですねw

        これから凄い勢いで農家が8割減少するらしいですよ
        今の中堅どころの世代が年金もらえないのと同じくらい確実な話らしいです

        • Dai より:

          通行人さんも、お元気そうで何よりです^^
          こちらもご多分に漏れず、二等米が大半になって昨シーズンは幕を閉じました^^;

          通行人さんはTwitterを始められたのですね!ここもなかなか大変な所ではありますw

          農家の減少は今後益々加速するでしょうが、減ってもらって一向に構わないと考えます。その方が残った農家はやりやすくなりますし、世間が言う程事が重大なのであれば、そうなってからじゃないと分からないでしょうから、一度そのようになってしまって問題無いと考えます。
          もし自分が逆に本気で農業に取り組むのであれば、これからの話ではなく今すぐ8割減少してもらわないと困るくらいですwどの道すぐにはどうこうできないので、一先ずぼちぼちやっていくとします^^;

          • 通行人 より:

            一見毒舌に見えるけどやっぱりDaiさん核心ついてると思うよ
            俺はどっちかっつーと未だに村八やってる町内会が壊滅してほしいと思う
            農家が農家を村八するならわからんでもないけど、サラリーマン非農家が農家を村八にするとかもう正気の沙汰ではないw
            素人が用水いじくり倒して大きな被害を出すとか昭和以下の悪夢ですわ

            農家が減るのは私も歓迎です
            が、問題は減少スピードに集積とか参入が追い付かない事です
            今政府で審議している内容を見るとね~
            絶対に施策が必要なんですが、その気はないみたいですよ
            ここまで来て農家の自己責任とは。。。
            農地の集積がしやすくなっても、それ以上に食糧安保が崩壊してたら意味ないと思うのですよ

          • Dai より:

            とんでもございません(汗)生意気な口をきいてるだけでございます^^

            日本では同じコミュニティーの中に更に複数のコミュニティーを形成する珍しい形を取って地域運営をする習性があるそうです。農村のような超小規模地域でも複雑な社会構造をしているのは日本特有だそうで、我が家のある部落が僅か80世帯そこそこなのに対して会、団、組合が付くものが8つも存在します。地域の繋がりを大切にすると言えば聞こえは良いでしょうが、実際はそれをしたいだけの【誰か】が大きな声を出しているだけという事が殆どです。もし自分が通行人さんの立場なら、【事を静観】します。それも取り返しが付かなくなるまでずっとです。その間、事態がどっちに転んでも良いようにしっかり準備しながら過ごします。

            農家が減っても構わないと考えるのもこれと同じです。集積や参入は追いつかなくて全然大丈夫です。元々間に合うようなものではないと考えています。政府に限らず物事の決定権を持っている人(会社などの組織も含む)は基本的に、自分自身の都合を軸に考えます。例えば今の政府にとって確実に衰退する農業の為に必死で何かするよりも、破損した部分を社外パーツ(輸入など)で補った方が合理的なのです。海外との付き合いも良くなりますしね^^;。国家そのものが農村なので、国会も町内会も全く同じ騒ぎ方をします。

            なので食料安保が崩壊する勢いで猛スピードで減少してもらって全然OKなのです。そこまでしてようやくスタートラインです。終わらなければ次の時代は始まりません。【終わり】は大抵綺麗にはいかないものです。なので、盛大に崩壊した方が良いのです。そして自分が農家を辞めると言うのも、その崩壊の一部でしかないのです。そういう点で言えば、我々農家も自分たちの都合で窮状を訴えているに過ぎなのかも知れません。本当は感情論を抜きにして冷静に考えればそんな事心配する必要も筋合いも無いはずなのに。我が家は義父がそれをできなかった為に今のような状態になってしまいました。

            通行人さんは熱意があります。熱意は必ず人を動かします。人が動けば事態は変化します。どうかその熱意、失くしてほしくないです。自分はもう冷えて固まってしまいましたから。

          • 通行人 より:

            今までは私も静観で来てたんですが、さすがに大きな実害が出たら戦わざるを得ませんね~
            Daiさんの意見も正しいです
            議論とは意見が違って初めて成立するもの、同意見ならば議論は成立しませんよね
            村八やってる人間ほど丸く収める気がサラサラないものですw

            スクラップ→ビルドを果たしてやれるだけの余力がその時に残ってるのかが心配です
            長くなったので、まーもしどこがでニアミスする時があればよろしくですw(@^^)/~~~

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