『沢山出来た野菜は売らないの?』規格外の野菜は収入にならないのか – 農家辞めます! 
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2021-03-16

『沢山出来た野菜は売らないの?』規格外の野菜は収入にならないのか

 こんにちは!Daiです!

 冬野菜にしていた白菜がそろそろ終わりを迎え、昨年の夏に仕込んでおいたネギが順次収穫できるようになりました。基本的に野菜などは、わざと余るように作るのが一般的です。と言うのも、余れば捨てればいい、足りない方がよっぽど困る、と言う考え方が農家にはあります。苗なんかもかなり余計な数用意したりします。

 そこで時々言われるのが、『これは売ってお金にできないの?』と、言う質問です。これはつまり、何らかの形で出荷するという事ですね。例えば農協などの集荷場へ出したり、直売所へ出品したり、或いは小さな飲食店へ直売したりと。農家は一次産業なので、一般的に考えられているスーパーなどの小売としての売るという行為は該当しないと考えます。特に自分で店を開いている訳ではないですから。農家どうしではあまり話す内容ではないのですが、とくに農業をしていない方からはよく聞かれます。世間的に…と、言うか、都会的に考えて農家は作物を売って生計を立てていると思われがちですし^^;。

 結論から言いますと、現在は規格外(はね出しとも言う)の農作物でも出荷できます。かつてはそれも出来ない集荷場は多かったらしいですが。ですがそれはまず利益が出ない。下手すりゃ大赤字になります。出荷の際には、集荷場が定めた、或いは市場が指定している方法で梱包しなければならないのですが、この梱包材で規格外の出荷品は殆どが赤字になります。赤字にならなくても、微々たる利益の為に手間や交通費を使いたくないです。結果的にそこで赤字になりますから^^;。

◆◆勿体無いは通用しない!定めた規格は守らなければならない

 よく形の悪い野菜を、無人販売なんかで売っていて、『こういうのが実は美味かったりするんだよ~』と言って、買って下さる方もおられます。この方法でも生産コストに対して圧倒的に利益が出ていないので、あくまで適正な処分方法の一つくらいに考えるのが現実的です。

●形が悪い野菜は当然のように低品質

 へんてこな形をした野菜がSNSで話題になったりして面白い世の中になりましたねw。曲がったり膨らんだりと、個性豊かな野菜がたまにありますが、これらの野菜は正しく成長できなかった低品質野菜です。自分で作った…と言う感動を除いて、基本的に食味は良くありません。野菜自体に正しく栄養が生き渡らなかった結果、形がおかしくなったのです。なので当然のようにこれらは出荷する事は出来ません。

●市場での相場を維持するため

 これは意外と知られてないと言うか、金融系に明るい人ならすぐにピンと来ると思いますが、規格外の作物をバンバン出荷してしまうと、同じように市場に出荷された通常~高品質な作物の相場をどうしても引き下げてしまうのです。『そんなワケねぇだろWw』と、多くの農家は笑いますが、チョット形が悪いだけの格安野菜がスーパーに並んでいたら、そればかりが売れるのは当然の事です。同じ野菜に変わりはないですから。すると高品質野菜が売れ残る →鮮度が落ちる →価格が下がる →高品質野菜が競りに弱くなっていく →平均相場が下がると、悪循環になっていきます。規格外品の出荷価格が安いのは、遠回しに出荷しないでくれと言っているのですw。

 他にも細かい話はいっぱいありますが、上記の二つがポイントだと自分は思います。

◆◆見た目はそこそこキレイ?でも規格外

 これは先日収穫したネギです。耕耘、畝立てなどの大きな作業以外の細かい世話は義母が行っています。収穫すると良い香りがするし、自分はコレで満足はしています。自家消費用ですから^^;。

 一見すると綺麗なネギですが、コレも規格外品、出荷は出来ません。直売所に並べても良いのかもしれませんが、こんな物並べて値札なんか貼ったら笑いものになりますね^^;。

●見た目が汚くても中身はちゃんと綺麗な白菜…でも規格外品

 冬の間置いておいた白菜。表面の外葉はボロボロに腐っていますが、多少傷んでいる所を取り除けば勿論問題無く可食できます。ですが勿論これも出荷は出来ない野菜です。我が家が食べきれなければ肥料になります^^;。

◆◆収入にはならないけど、栽培にもお金は必要

 結局のところ、規格外品を少しでも収入につなげるのは難しいという事になります。むしろ下手に何とか収入にしようと考えない方が無難ですね^^;。それどころか栽培には大なり小なりコストがかかります。全くの無料で育てる事は出来ませんし、なんなら種や苗を買わなければいけない時点でもうペイできないコストと思っています。

因みに、アメリカやオーストラリアで小売りされているジャガイモは『そうか病』という芋の表面がかさぶた状になる病気になっている物が多いそうですが、現地ではそれが普通なので一切気にしないそうです。日本では見た目が悪いのではね出しにしてしまいます。皮を剥いてしまえば何の問題も無いです。そうか病の原因は、ジャガイモシスト線虫と言う小さな虫に芋の表面が食い荒らされる事で発生します。

 この問題の最大の解決方法は、規格外品を作らないように細心の注意を払うしかないのです。その為に農薬を使ったり、手間をかけたりしますが、出来が良い物を作るコストも当然かかってくるわけで(汗)。農業はホントジリ貧ですね、良い物に拘るのも良いですが、もっと寛容な考え方ならここまで詰まる事も無かったのかなと、勝手に思ったりもしますw。

 ではまた。

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