兼業農家が『働き方』について真面目に考えてみた – 農家辞めます! 
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2021-04-14

兼業農家が『働き方』について真面目に考えてみた

 今回新しく『働き方』というカテゴリーを作ってみました。自分は特に何かの専門家と言う訳ではないので大したことは言えませんが、実はこれまでの人生の中で、短期やアルバイトや派遣も含めて全部で50社以上(そこから先は数えてない)の会社で働きました。一年で最高9社だった時代もありますし、Wワークばっかりやっていた時代もあります。勿論正社員と言う待遇で働いた事も沢山あります。もう新潟市近郊から周辺地域に至るまで相当の会社を知っています。

 仕事内容も多岐に渡り、長距離大型トラック運転手、土木、建設、建築、宅配、浄化槽清掃、食品製造、牛豚鶏の畜産、警備、交通誘導、携帯電話の契約事務、携帯電話の販促イベント、建材営業、メッキ製品の製造、プレス板金加工、溶接、倉庫内業務、フォークリフト、除雪、競馬場のダート舗装、築炉、足場鳶、鉄骨鳶、引っ越し、外壁塗装、家屋解体、宝くじの販促、スーパーの品出し、ホムセンの棚卸、イベント会場の設営撤去、リサイクルショップや小売りで様々な商品に関わったりしました。正直今ここで全部書いてもアレなんでこのくらいにしますが、ほじくればまだまだ出てきます。

 自分は中学3年生の時から鉄工所などで働いていました。当時の日給は2000円でした。自分の労働者人生は義務教育の時代から始まっています。今から20年以上前の話なので、そんな事が通用したのもなんだか時代だったな~と、感じます。

 そんな自分だからこそ、かなりディープな話ができるのではと思い、このカテゴリーを作ってみました。現在も兼業農家として『働き方に非常に悩んでいる』立場なので、同じような悩みを持っている方にとって少しでも解決の糸口になってくれればと思います

◆兼業農家は会社に嫌われる◆

 会社にとって社員とは何でしょう?答えは簡単です、『働いてほしい人』です。正社員でもアルバイトでも、ちゃんと働いて仕事を回し、会社に利益をもたらして欲しいのです。社員の働きによって会社が得た利益の一部を、こなした仕事の対価として社員に支払います。普通に考えれば分かる事ですね。

 では会社にとって兼業農家とはなんでしょう…。これは個別に事情が異なる事もありますが、自分の住んでいる地域で一番言われているのが『自分の都合で仕事を休みまくる人』なのです。やれ田植えだ~、やれ稲刈りだ~と言っては会社を休み、他の社員の方がその不足分を補う。殆どの場合迷惑な存在です。会社そのものにとっても、『会社の仕事を頑張ってくれない人』として扱われる事が多いです。実際長く勤めている人でも、当然のように昇給賞与も無ければ昇進も無い人を沢山知っています。これは仕方ないですね。会社に利益をもたらさず、自分の農業所得はしっかり確保するのですから。

●農業とはいえ、所詮は副業でしかない

 兼業農家で、特に米作りをする人は昔特別な存在だった時代もあったそうです。国民の為に食料を生産する有難い『お百姓さん』だったわけです。

 ところが時代は進み一億総中流社会になると、『みんな会社で頑張っているのにいまだに米作りなんかやってやがる!しかも会社を休んでまで!』と、言われるようになってきます。自分が中学生の頃にはこの声はかなり聞こえていました。大人たちの日常会話でも出るレベルと思って良いと思います。

 会社の仕事をちゃんとやらないで、田んぼなんかやっている。現在の兼業農家の社会的立場はそういう部分もかなり強いです。実際自分も散々言われていますし、この記事を書いている前日も言われています。もう慣れっこですw。実際には休んでもいなけりゃ、しっかり時間内に会社の仕事を終わらせているのですけどね^^;。

●理解を得られる事も勿論ある

 一概に差別ばかりされるわけではないのも事実です。自分が以前働いていた会社では非常に理解を得られており、日頃の労働も全部自分の裁量で決めさせてもらい、自ら時間を確保しながら農作業を進めていました。その事で揉めた事は一切無く、非常にありがたい存在でした。やる事をしっかりやっても良く思われない事もあれば、ちゃんと理解を得られる事で、かえってスムーズに行く事もあります。

 それでも理解してくれる会社はほんの一握りと考えた方が良いと思います。会社にとってWワークをする人は結構なリスクになってしまいますからね、仕方のない事です。

◆働き方改革の時代は兼業農家にとって追い風になるのか◆

 現在我が国では、これまでの働き過ぎな部分を改善し生産性を上げるとともに、誰もが暮らしやすい社会の実現に向けて様々な制度が検討されています。この記事を書いている令和3年4月現在、『選択的週休3日制』なんてものも検討され始めています。

●高齢化している地方では全然関係無い

 休みが確保しやすくなるのは兼業農家にとって非常に助かるのですが、平成も終わり令和も話題にならなくなった今でも、新潟では完全週休2日制ですら実現できていない会社が大半です。もし完全週休2日制にしたければ正社員ではなくパート・アルバイトになりなさいと言われる現状。残業ですら減らせない、減らす気などさらさら無い会社もあれば、消化が義務化された有給でさえ就業規則で私用での有給消化を認めないと平気で定めている会社も身近にあります。一社二社じゃないので、いちいち刺してたらキリが無いです。

●働き方改革は、田舎では実現しない

 都会や人口の多い地域では、今後働き方改革が進んでいくでしょう。変化そのものをカバーできるだけの人材が揃っているはずですから。ですが田舎では、働き方なんて今更変える理由が無いのです。高齢化している地方田舎では、とっくの昔に子育ても終わっているし、場合によっては介護する親も先に召されているし、むしろ下手に労働時間を減らしてしまって収入が下がったら、只でさえ出費が多い田舎暮らしではやっていけないです。ましてこれから年金も確実に目減りしていき、高齢になってもフルタイムで働き続けないといけない時代になっていくので、働きやすさなど二の次三の次となります。

●結果、若手はますますいなくなる

 田舎で働き方改革が実現しなければ、当然若手はますますいなくなるでしょう。明らかにパイの少ない若手が更にいなくなる展望となったら、更に働き方改革なんて考える筋合いすら無くなります。完全に悪循環に陥っています。

 働き方の問題は難しいです。これまで『長時間労働こそ人の価値』の時代を長らく生きてきた世代がいまだ現役で活躍している社会、働き方改革はむしろ少数派意見と言っても過言ではないと思います。

 それにこの働き方改革、経営サイドから見たらメリットなど殆ど無いのでは?と、思います。会社にとって人は資産です。資産は運用しなければ利益に繋がりません。むしろ動かせば動かす程利益に繋がります。

 自分の人生を生きる事は難しいですね、自分の人生なのに。山程ある自分の労働経験、労働審判や少額訴訟に関わった話や、職場で実際にあった身の毛もよだつ話。経営者の悲壮感や、独立した人達の話。自分は経験した事しか語れないですが、『働き方』は『生き方』そのものだと思っています。

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